「よし、今回はあの崩れかけた塔だな」ラーンが拳を握りしめた。イシェは地図を広げながら眉間に皺を寄せた。「あの塔は危険だって聞いたことがあるわ。特に地下深くには…」
「大丈夫だ!俺が先頭を切って開拓する!」ラーンは意気揚々と剣を抜いた。イシェはため息をつき、テルヘルの方を見た。「どうする?」
テルヘルは静かに頷いた。「私は後方支援。お前たち二人に任せる」彼女の瞳には冷たい炎が燃えていた。ラーンの無謀さにイシェは不安を感じたが、彼を止められる立場ではなかった。
塔の入り口は崩れ落ち、石畳も苔むしていた。ラーンは軽々と rubble を飛び越え、内部へと足を踏み入れた。イシェは後ろから続くが、足取りが重い。
塔内は薄暗い。わずかに差し込む光で埃が舞う様子だけが確認できる。「ここは…何か奇妙な力を感じるのよね…」イシェが呟いた。ラーンは気にせず、奥へ進んでいった。
やがて、彼らは広間に出た。壁には古代の文字が刻まれており、中央には石の祭壇が置かれていた。祭壇の上には、光る水晶球が鎮座していた。
「これは…!」ラーンの瞳が輝いた。「大穴だ!ついに大穴を見つけたぞ!」イシェは不安を感じた。この場所には何か邪悪な力を感じ取ることができたのだ。
その時、水晶球が突然光り輝き始めた。地面が激しく揺れ、壁から石が崩落した。ラーンは慌てて剣を構えた。「なんだこれは!」イシェは恐怖で言葉を失った。
水晶球から黒い霧が立ち上り、空間に広がっていく。霧の中に影が浮かび上がり、鋭い爪を光らせた。
「魔物だ!」ラーンが叫んだ。イシェは剣を抜く。しかし、その魔物は彼らを圧倒するほどの強さだった。
テルヘルは冷静に状況を分析していた。「これは…あの遺跡の守護者か。水晶球に触れたことで目覚めてしまったようだ」彼女は手にした杖から光を放ち、魔物に攻撃を仕掛けた。
ラーンとイシェも奮戦するが、魔物の力は強すぎる。絶体絶命のピンチの中、テルヘルは冷静さを失わずに戦術を練っていた。彼女の頭脳と技巧、そしてラーンの勇気とイシェの冷静さがあれば、この危機を乗り越えられるかもしれない。