「準備はいいか?」
ラーンの豪快な声にイシェが小さく頷いた。目の前には、かつて栄華を極めた文明の痕跡を残す遺跡の入り口があった。埃っぽい空気を吸い込みながら、テルヘルは地図を広げて確認する。「内部構造は複雑だ。慎重に進もう」
ラーンはワクワクした顔で剣を構えた。「よし、行こうぜ!」
イシェはため息をつきながら彼に続いた。テルヘルの指示に従って、彼らは遺跡の奥深くへと進んでいく。壁には古代の文字が刻まれ、床には崩れかけた石畳が広がっている。時が止まったかのような静寂の中、足音だけが響く。
突然、ラーンが立ち止まり、鋭い視線で周囲を警戒した。「何かいるぞ」
イシェも緊張感を高め、剣を握りしめた。「何の気配だ?」
テルヘルは冷静に状況を判断し、「罠の可能性もある。慎重に」と警告した。
その時、壁から不気味な音が聞こえた。石が崩れ落ちるように、壁一面が光り始め、影が彼らを包み込んだ。
「これは…!」イシェが声を上げる前に、巨大な影が彼らに襲いかかった。
ラーンは剣を振りかざし、勇敢にも敵に立ち向かう。しかし、その力は明らかに彼らには敵わない。イシェは必死に逃げようとするが、足がすくんでしまう。
その時、テルヘルが前に出た。「待て!」
彼女は冷静な表情で、影に向かって何かを唱えた。すると、影は一瞬光り、動きが止まった。
「これは…何だ?」ラーンが驚いて言った。
テルヘルは少しの間沈黙した後、ゆっくりと口を開いた。「ヴォルダンが開発した古代兵器だ。私がかつて見てきた…」
彼女の瞳には、激しい憎しみと、何かを打ち砕く決意が燃えていた。この遺跡の奥には、ヴォルダンへの復讐を果たすための鍵があることを彼女は確信していた。そして、その鍵はラーンやイシェと一緒に握っているのだ。