ラーンの豪快な笑い声が、ビレーの薄暗い路地裏にこだました。イシェは眉間に皺を寄せながら、彼を睨みつける。
「また遺跡探検か? そんな大穴はないだろう」
「いやいや、今回は違うんだ! この遺跡の地図、なんか怪しい雰囲気がするんだよな!」
ラーンは興奮気味に、イシェに見せるように地図を広げた。イシェはため息をつきながら、地図を手に取る。確かに、今回の遺跡の配置は少し奇妙だ。いつもとは違う場所にあるし、記されているシンボルもどこか不自然だった。
その時、背後から声がした。
「二人とも、準備はいいか?」
テルヘルが、鋭い視線で二人を見下ろす。ラーンの笑顔は一瞬消え、イシェは緊張した表情を浮かべた。テルヘルの目的は、単なる遺跡探索ではないことは、彼らもよく知っていた。彼女はヴォルダンへの復讐を果たすために、遺跡から何かを探しているのだ。
「準備はいいよ。てめーが言うように、今回は大穴が見つかる気がするんだ!」
ラーンの言葉に、テルヘルは薄く笑った。イシェは、二人をじっと見つめた。
「よし、では行こう」
三人は、薄暗い路地裏から姿を消した。彼らの背後には、ビレーの夕暮れがゆっくりと広がっていった。
夜が更け、遺跡内部深くまで足を踏み入れた一行。イシェは、ラーンの無謀な行動に何度もため息をついた。テルヘルはいつも通り、沈黙を保ちながら周囲を観察していた。
「ここには何かあるはずだ」
テルヘルは、壁に刻まれた奇妙な模様を指差した。イシェは、その模様を見て言葉を失った。それは、以前見たことのない記号だった。ラーンは、興奮気味に剣を抜き出した。
「よし! これで大穴が見つかるぞ!」
しかし、その時、壁の奥から不気味な音が響き渡った。三人は振り返ると、そこには巨大な影が立っていた。それは、かつて遺跡を守護していたと言われる伝説の獣だった。
「これは…!」
イシェは恐怖で声を上げた。ラーンは剣を構え、テルヘルは冷静に状況を分析する。三人の運命は、この遺跡の奥深くで交錯することになるだろう。