「よし、今回はあの遺跡だ！地図によると奥に大きな部屋があるらしいぞ！」ラーンが目を輝かせて古い地図を広げた。イシェは眉間にしわを寄せながら地図を確認した。「また大穴だと？ラーン、そんな楽観的な話ばかり言わないでほしい。あの遺跡は危険だって聞いたことがある。」
「大丈夫だ、イシェ。俺がいるんだから！それにテルヘルさんがいるってことは、何か面白いものがあるに違いないだろ？」ラーンの言葉に、イシェはため息をついた。テルヘルは冷静な表情で地図を指さした。「入口のすぐ近くに仕掛けがある可能性が高い。慎重に進もう。」
遺跡の入り口は崩れかけた石造りの扉だった。扉には奇妙な模様が刻まれており、まるで警告のように見えた。「やっぱり何かあるな。」ラーンの手は剣に自然と伸びた。イシェは懐から小さなランプを取り出して点火し、周囲を照らした。「気をつけろ、ラーン。この遺跡は…」
イシェの言葉が途絶えた。扉の前で、ラーンが突然立ち止まったからだ。彼の顔色は蒼白で、目は恐怖で大きく見開かれていた。「何だ、ラーン？どうした？」イシェが近づこうとした時、ラーンの視線は扉の奥へと向けられた。「あそこ…あの扉の向こうから…」ラーンは言葉にならない声を上げた。
イシェはラーンの視線に従い、扉の奥を見つめた。そこは漆黒の世界だった。深い闇の中に、かすかな光が僅かに浮かび上がっているように見えた。まるで、何かが彼らを招いているかのような不気味な光景だった。テルヘルは冷静に状況を判断し、「何かがいるようだ。準備を。」と命令した。
ラーンは剣を握りしめ、イシェはランプを手に、テルヘルは鋭い目で周囲を見渡した。三人は緊張感漂う空気を切り裂くように、扉の向こうへと進んでいった。