ビレーの夕暮れは早く、薄暗がりの中、ラーンが酒場の戸口に寄りかかってため息をついた。「また空振りか。イシェ、今日はいい加減にしようぜ」。
イシェは疲れた表情でテーブルを叩いた。「そんなこと言わずに、もうちょっと探そうよ、ラーン。あの遺跡には何かあるはずだ」。
「何があるって言うんだ? また宝の地図みたいなの?」ラーンの目は空虚だった。「あいつの言うことは信用ならんぞ」。
テルヘルは背後から静かに近づき、「諦めるな、ラーン。今回は違うぞ。あの遺跡には確かに何かがある。そして、それが我々の未来を決める鍵となる」。彼女の瞳は冷たく輝いていた。
「未来?そんな大層な話に巻き込まれたくないよ」。ラーンの顔色が悪くなった。「イシェもそうでしょ?」
イシェは迷いを見せていた。「でも…あの遺跡の構造は、どこかで見たような…」
「そうだ!あの書物にあったぞ!古代の戸締まりについて!」ラーンが突然興奮したように叫んだ。「あの遺跡の奥には、古代の宝が眠っているかもしれないんだ!」
「戸締まり?」イシェは眉をひそめた。「そんな話は聞いたことがない」。
テルヘルは微笑んだ。「それは秘密だ。とにかく、我々はこの遺跡を制覇しなければならない」。彼女の言葉は力強い意志に満ちていた。
ラーンの目は再び輝き始めた。「よし、わかった!俺たちならできるぞ!イシェ、準備はいいか?」
イシェは深くため息をついたが、やがて頷いた。「わかった。行くよ、ラーン」。二人はテルヘルの後をついて、薄暗がりの中へと消えていった。彼らの背中には、夕暮れの光が長く伸びて影を落としていた。