「おい、イシェ、あの石碑、なんか変だぞ。」
ラーンが指さす石碑には、奇妙な文字が刻まれていた。イシェは眉間にしわを寄せながら近づき、石碑を丁寧に撫でた。
「確かに、見たことのない文字だね。でも、ただの装飾品かもしれないよ、ラーン。」
「いや、何か感じるんだ。この遺跡から何か出てこないかな」
ラーンの目が輝き出す。イシェはため息をついた。ラーンの無計画な行動に巻き込まれるのはいつものことだが、彼の熱意にはどこか惹かれてしまう自分もいる。
その時、背後から冷たい声が響いた。「石碑の謎を解く鍵となるもの、私は知っている。」
テルヘルが静かに現れた。彼女の鋭い視線は石碑に注がれている。
「お前たちが探しているのは、この遺跡に眠る戦勝の秘宝だ。」
ラーンの目がさらに輝きを増した。イシェは不安を感じた。テルヘルの目的は何か。戦勝の秘宝とは一体?
テルヘルは三人に地図を広げ、複雑な経路を指さした。「この遺跡には、複数の部屋があり、それぞれに試練が用意されている。戦勝の秘宝を得るためには、すべての試練を乗り越えなければならない。」
「試練…?」
イシェは不安を募らせた。テルヘルは冷静に言った。
「私は、その試練を乗り越えるための知識と力を提供する。お前たちの役割は、私の指示に従い、秘宝を手に入れることだ。」
ラーンは興奮して剣を抜いた。「よし!やろうぜ、イシェ!」
イシェはためらいながらも、ラーンの後ろに立つ。テルヘルの言葉には何か裏があるような気がした。だが、もう後戻りはできない。三人は石碑の前に立ち、戦勝の秘宝を求めて遺跡へと踏み入った。