ラーンが興奮気味に宝箱を開けると、イシェは眉をひそめた。「またか…」と呟く彼女の言葉に、ラーンは少し肩を落とした。中には錆びた剣と、見ようによっては美しい模様が施された石の破片が入っていた。
「大穴じゃないな…」ラーンの落胆の声に、テルヘルは冷たく言った。「約束した通りだ。報酬は成果に基づく。」イシェはテルヘルの言葉に頷き、ラーンを制止するように言った。「まあ、今回はこれで終わりにするわよ。次の遺跡はもっと深く潜らなければいけないかもしれないし」
ラーンの顔色が曇る中、テルヘルは石の破片を手に取ると、目を細めた。「これは…?」彼女は呟きながら、破片をポケットにしまい込んだ。そして、ラーンとイシェに鋭い視線を向けた。「今日はここまでだ。次の探索は、私が場所を決める。」
ラーンの無邪気な笑顔と、イシェの冷静な表情、そしてテルヘルが隠した石の破片。三人はそれぞれ異なる目的を抱きながらも、この「境の国」で運命を共に紡いでいくのだ。