「よし、今回はあの崩れた塔の奥深くまで行ってみよう。噂によると、そこには未開の部屋があるらしいぞ」
ラーンが興奮気味にそう言うと、イシェは眉をひそめた。「また噂話？ ラーン、あの塔は危険だと言われているだろう。何年も前に崩落した場所へ行くのは無謀すぎる」
「大丈夫大丈夫、イシェ。僕には剣があるし、テルヘルもついてきてくれるんだろ？」
ラーンの言葉に、テルヘルは薄暗い表情で頷いた。「確かに、あの塔の奥深くには何かあるかもしれない。調査する価値はあるだろう。ただし、危険な場所であることは覚悟しておきなさい」
イシェはため息をつきながら、準備を始めた。彼女はいつもラーンの無鉄砲さに振り回されることになるのだ。しかし、彼の熱意に巻き込まれることも少なくない。彼には、どこか人を惹きつける力がある。
三人はビレーの町を出発し、荒れ果てた遺跡へと向かった。崩れた石柱と瓦礫が散乱する中を進むにつれて、空気は重くなり、不気味な静寂に包まれた。
塔の中に入ると、薄暗い光が差し込み、埃っぽい空気を漂わせる。壁には古びた絵画が残っており、かつて栄華を極めた文明の痕跡を感じさせた。
ラーンの足取りは軽快だったが、イシェは緊張感が高まるにつれて慎重に足を踏みしめるようになった。テルヘルは常に周囲を見回し、鋭い視線で何かに気を配っているようだった。
塔の奥深くへと進むにつれて、危険なトラップが現れ始めた。毒のある矢が仕掛けられた仕掛けや、床板が抜け落ちた場所など、かつて誰かが意図的にこの場所を封じ込めたことが伺える。
ラーンは勇敢にトラップを切り抜けたが、イシェは冷静さを保ちながら、彼をサポートした。テルヘルは常に状況を把握し、的確な指示を出していた。三人は互いに助け合いながら、少しずつ塔の奥へと進み proceeded.
そしてついに、崩れた壁の奥に隠された部屋を発見した。そこには、豪華な装飾が施された石棺が置かれており、その周りを貴重な遺物で囲まれていた。
ラーンの目は輝き、「やった！ 大穴だ！」と叫んだ。イシェも思わず息を呑んだ。確かにこれは莫大な価値があるだろう。
しかし、その時、壁の影から黒い影が現れた。それはヴォルダンからの刺客だった。彼らはテルヘルの過去を知っており、彼女をあの塔に誘い込んだのだ。
三人は刺客と激しく戦った。ラーンの剣技は荒々しく、イシェの機転の利いた動きが互いに助け合いながら、刺客たちを追い詰めた。テルヘルは冷静沈着に剣を操り、敵の攻撃をかわしながら反撃した。
激しい戦いの末、三人は刺客たちを倒し勝利した。しかし、その代償は大きかった。イシェは負傷し、ラーンも力尽きていた。テルヘルは復讐を果たすために生きていることを改めて認識させられた。
彼らは遺跡から脱出し、ビレーへと戻った。今回は大穴には手が届かなかったが、三人は強固な絆で結ばれた。そして、彼らの前に広がる未来には、成り上がりの道が開かれていたのだ。