ラーンの豪快な笑い声がビレーの狭い路地裏にこだました。イシェは眉をひそめて彼を睨みつけた。「また大穴の話か。そんな夢物語に惑わされるのはもうやめなさいよ」。
「でもさ、いつか必ず掘り当てられるって確信があるんだ」ラーンはそう言いながら、錆びた剣を研ぎ続けた。「あの遺跡の奥深くには、きっととんでもない財宝が眠っているはずだ」。イシェは彼の楽観的な態度にため息をついた。
そこにテルヘルが姿を現した。「準備はいいか?」彼女の目は冷酷に輝いていた。「今日は少し危険な遺跡へ行く。覚悟しておけ」。ラーンの顔は一瞬曇ったが、すぐにいつもの笑顔を取り戻した。「怖いものはないよ!俺たちに任せろ!」イシェはテルヘルの言葉の重みに胸を痛めた。
遺跡の入り口には、不気味な影が忍び寄っていた。ラーンは剣を抜いて立ち向かったが、彼の攻撃は空を切った。イシェは冷静に状況を判断し、テルヘルに合図を送った。彼女は鋭い動きで敵の背後を取り、一撃を加えた。
しかし、戦いはまだ始まったばかりだった。遺跡の奥深くに潜む謎と、彼らの運命を左右する真実が待ち受けていることを、誰も知らなかった。イシェはラーンの無謀さに手を焼いていたが、彼の行動にはどこか魅力を感じていた。テルヘルは目的のためなら手段を選ばない冷酷さを持ちながらも、彼らを守るために立ち向かう姿に心を揺さぶられるものがあった。
三人は互いに異なる信念と抱える傷を抱えながら、遺跡の奥深くへと進んでいった。彼らの行く末は、希望と絶望が交錯する境の国に飲み込まれていく。