ビレーの夕焼けが、ラーンたちの顔に赤く染まっていく。今日も遺跡から空っぽで戻ってきた。イシェは疲れた様子で肩を落としている。
「また明日か。」
ラーンの言葉にイシェは小さく頷く。いつも通り、ラーンは明日への期待に満ち溢れているようだが、イシェにはそんな余裕はない。
「あの遺跡の奥深くで見つけた記号…あの形を見たことあるような気がするんだけど…」
イシェが呟くと、ラーンの顔色が少し変わる。
「ああ、あの奇妙な紋章か?俺も見たことある気がするぞ!どこかで…」
二人は互いに言葉を交わす。あの紋章は、かつてビレーの古い民話に出てくる、失われた楽園を象徴する紋章だったのだ。伝説によると、楽園には莫大な財宝と、人々の憧憬の対象であったという。
イシェは、いつも通りのラーンの軽快な態度とは裏腹に、彼の瞳の中に一瞬だけ、熱い光を見た気がした。それは、ただの遺跡探索以上の何かを求める、深い欲望だった。イシェは胸が締め付けられるような感覚を覚える。
「よし!明日こそ、あの紋章の謎を解き明かすぞ!」
ラーンの声は力強く、まるで楽園への扉が開かれるかのような興奮に満ちている。イシェは、彼の熱意に押されるように、また遺跡へと足を踏み入れることになるだろう。だが、イシェにはどこか不安な予感がする。この遺跡探索が、彼らの人生を大きく変えるものになるかもしれないという予感だ。