ビレーの夕暮れ時、ラーンはイシェとテルヘルと共に酒場で杯を傾けていた。今日も遺跡から持ち帰ったのは埃まみれの破片だけだった。ラーンの豪快な笑い声とは裏腹に、イシェの眉間にしわが寄っていた。「また明日もあの遺跡か？」
「ああ、そうだな。あの遺跡には何かある気がするんだ」ラーンは目を輝かせた。「きっと大穴があるはずだ！」
イシェはため息をついた。ラーンの無謀な行動にいつも巻き込まれる。だが、彼の情熱と明るさにはどこか惹かれるものがあった。テルヘルは静かに酒を飲んでいた。彼女の目は影を落としており、誰にも見せない苦悩を抱えているようだった。
「あの日、ヴォルダンが全て奪った…」テルヘルは呟いた。「家族、友…そして大切な人。」
イシェは思わず息をのんだ。テルヘルの過去には深い悲しみがあったのだ。ラーンは彼女の肩に手を置き、力強い声で言った。「必ず復讐を果たすぞ！」
テルヘルは少しだけ顔を上げた。ラーンの言葉に、かすかな希望の光が灯ったように見えた。「ありがとう…ラーン。」
イシェは二人が互いの言葉を交わす様子を見て、胸が締め付けられるような感覚を覚えた。ラーンとテルヘルには、互いに支え合いたいという強い思いがある。それは友情を超えた何かを感じさせた。
次の日、三人は再び遺跡に向かった。ラーンの前向きな言葉に励まされ、イシェも少しだけ希望を抱いていた。そして、テルヘルは復讐への決意を新たにした。
遺跡の奥深くで、彼らは新たな発見をすることになるだろう。そして、その先に待つものとは何か…。