「おいイシェ、あの石像の足元みてみろよ!」ラーンが大きな声で言った。イシェはため息をつきながら、ラーンの指さす方向を見た。確かに、石像の足元には何やら光るものが見えた。「またか…」と呟くイシェに、ラーンはニヤリと笑った。「ほら、大穴発見だ!きっと宝石がぎっしり詰まってんだ!」
イシェは眉間にしわを寄せる。「ラーン、あれはただの水晶だろう。それに、あの石像は遺跡の入り口を守る守護神だって、テルヘルが言ってたじゃないか。触るのは危ないぞ」と注意した。だがラーンの耳には届いていなかった。彼はすでに石像に近づき、足元を掘り始めた。
「待て!」イシェが叫んだが、ラーンは無視して水晶をこじりとった。「ほら、見てみろ!思った通りだぜ!」と、ラーンは水晶を掲げた。しかしその瞬間、石像の目が赤く光り、床に埋められたトラップが発動した。鋭い棘が地面から飛び出し、ラーンの足を貫いた。
「ぐっ!」ラーンの悲鳴が響き渡った。イシェは慌てて駆け寄り、ラーンを助け起こそうとした。「大丈夫か?早く逃げないと!」と叫んだ。だがラーンは苦しみながら言った。「くそ…水晶…」彼の目はまだ水晶を握り締めたままだった。
その様子を見ていたテルヘルは冷たい笑みを浮かべた。「あの石像には警告の刻印が刻まれている。触れる者は必ず罰せられる。」彼女はラーンの足を Ignoring し、水晶を拾い上げた。「まあ、いいでしょう。計画変更だ。この水晶を元に、ヴォルダンに近づける情報を得る方法を考えよう」と彼女は言った。イシェはラーンの苦しむ姿を見ながら、テルヘルの冷たい言葉に憤りを感じた。だが、今はラーンを助けなければいけなかった。
「早く病院へ連れて行こう!」イシェがラーンを抱き上げると、彼は弱々しく言った。「イシェ…ごめん…」
「そんなこと言わないで。僕が悪いんだ」イシェは必死に涙を抑えながら、ラーンを連れ出した。だが、彼の心には深い怒りと不安が渦巻いていた。テルヘルの意地悪な策略に巻き込まれたラーンが、本当に大丈夫なのか。そして、この先、彼らを待っているのはどんな運命なのか…。