ラーンが石を蹴飛ばして、イシェの眉間にしわを寄せるほど強い scowl を送ると、イシェはため息をついた。
「またか？ラーン、もう日が暮れるぞ。今日はもう諦めよう。」
「いやだ、あとちょっとだけだ。ほら、あの奥に何か見えるぞ！」
ラーンの指さす方向には、薄暗い洞窟の奥深くで、かすかに光るものが見えた。イシェはため息をつきながら、後ろから続くテルヘルの足音を聞いて、仕方なく頷いた。
「わかったわかった。でも、もし何も無かったら、今日はもう帰るぞ。」
三人は慎重に洞窟の中を進んでいった。壁には苔が生えていて、湿った冷気が漂っていた。ラーンは興奮気味に剣を振るいながら先頭を歩み、イシェは後ろから彼を注意深く見守っていた。テルヘルは二人よりも少し後方を歩いていて、鋭い目を洞窟の奥へと向け、何かを探しているようだった。
「ここだ！」
ラーンの声で、三人は立ち止まった。洞窟の奥に広がる空間には、巨大な石の祭壇が置かれていた。祭壇の上には、光る宝箱が鎮座していた。
「やった！大穴だ！」
ラーンは興奮して祭壇に駆け寄ろうとしたが、イシェが彼を掴んで引き戻した。
「待てよ、ラーン。何か変だぞ。」
イシェは祭壇を見つめ、眉間に皺を寄せた。祭壇の周りは、まるで何かで汚染されたように黒く焦げていた。そして、空気を支配するような重い悲しみが漂っていた。
その時、テルヘルが口を開いた。
「これは罠だ。」
彼女の言葉は冷酷に響き渡った。三人は、祭壇から発せられる邪悪なオーラを感じ取り、恐怖の念に襲われた。
ラーンの興奮は一気に冷めてしまった。イシェは深くため息をつきながら、ラーンを後ろに引っ張った。
「もう帰ろう。今日はもう終わりだ。」
三人はゆっくりと洞窟から後退していった。その背後には、光る宝箱が、まるで嘲笑するかのように輝いていた。