「おい、イシェ、あの石碑みてえの、なんか変じゃないか?」ラーンの低い声がビレーの喧騒を一瞬にして切り裂いた。イシェはラーンの指さす方向を見た。確かに、日頃から遺跡探しの仕事をする者たちには馴染みの深い石碑が、今日は異様に光り輝いているように見えた。「まさか…、活性化? 」イシェは呟いた。
「おいおい、イシェ、そんなのありえないだろ! そんなの夢物語だぞ!」ラーンの言葉に反して、彼の瞳にも興奮の色が滲んでいた。テルヘルは眉をひそめた。「活性化とは…、可能性は低いが、無視できるものではない。」彼女の視線は石碑から離れず、鋭い光を放っていた。
「もし本当なら…、あの遺跡の奥深くに眠る伝説の宝庫…」イシェは言葉を濁す。ラーンの興奮とテルヘルの冷徹な分析がぶつかり合い、空気が張り詰めていた。
「よし、行こう!」ラーンが叫んだ。イシェはため息をつきながら、彼の後を続けた。テルヘルは二人を見据え、静かに口を開いた。「恩賞を忘れずに。」その言葉に、三人は深く頷くのだった。