ラーンの大雑把な swing で埃が舞い上がる。イシェは咳き込みながら「もう少し慎重に…」と呟いた。だがラーンは既に奥深くまで入っていた。
「ほら、何かあるぞ!」
彼の声にイシェが駆け寄ると、壁に埋め込まれた小さな箱を見つけた。テルヘルは慎重に錠を解き、中から光る石を取り出した。
「これは…」イシェは息をのんだ。「古代の魔法石だ」
テルヘルは満足げに頷いた。「これでまた一歩、ヴォルダンへの復讐に近づく」
ラーンは目を輝かせた。「そして俺たちは大穴を掘り当てる!」
イシェは苦笑する。彼らにとって、この遺跡探索は単なる日銭を得る手段だ。だがテルヘルには違う意味があることを、イシェは知っていた。彼女は復讐のために、この世界が持つあらゆる力を利用しようとする。
「よし、次の遺跡へ行くぞ!」ラーンが叫んだ。
イシェはため息をつきながら、テルヘルとラーンの後についていった。彼女たちは、ヴォルダンの影から逃れるように、そして恩寵を求めて、今日も遺跡を巡り続けるのだ。