ラーンの鼻息が荒くなるのがわかった。彼は遺跡の入り口で立ち止まり、巨大な石門をじっと見つめていた。イシェは彼の背後でため息をつきながら、地図を広げた。「ここだ。内部図面ではこの先に大部屋があるはずだ」
ラーンは無視して石門を叩いた。「おい!開けろ!」
当然返答はない。イシェは眉間にしわを寄せて言った。「無駄だ。この遺跡は既に何百年も封じられている。開ける方法なんてないだろう」
「そんなこと言わずに、ちょっと力入れてみろよ」ラーンが再び石門を叩くと、今度は石塵が舞い上がった。イシェは諦めたように地図を畳んでポケットに入れた。「いい加減にして。あの大部屋なんか、ただの作り話じゃないか?」
「嘘つけ!俺の曾祖父が見たって言うんだぞ!」ラーンの目は輝いていた。「そこに眠ってる宝物は、俺の人生を変えてくれる」
イシェはため息をついた。「また始まった…」彼女は振り返り、遺跡の奥へと続く暗い通路を見た。ラーンに付き合わされるのは疲れたが、彼を止められるわけでもなかった。 besides, この遺跡には何かがあるような気がしていた。それは単なる宝物の話ではない、もっと深い何かを感じていたのだ。
その時、テルヘルが彼らの前に現れた。「準備はいいか?」彼女の鋭い視線は二人を貫いていた。「内部調査の結果、大部屋に辿り着くには、この石門を開ける必要がある。しかし、その鍵は…」彼女は地図を広げ、指を一つ動かした。「この奥にある祠の中に隠されている」
ラーンの目はさらに輝きを増した。「よし!行こう!」彼は石門に向かって駆け出すと、振り返らずに言った。「イシェ、お前も急げよ!」
イシェはため息をつきながら彼の後を続けた。テルヘルが言うように、この遺跡には何かがあると感じていた。だが、その「何か」が本当にラーンが求める宝なのか、それとも何か別のものなのか、まだ見極めていなかった。