ラーンの大 swing によって埃が舞い上がった。巨大な石扉の前、イシェは眉間に皺を寄せながら「本当に開くのか?」と呟いた。ラーンは自信満々に笑って「開けなきゃ宝なんて出ないだろう!」と答えたが、イシェは彼の背後からテルヘルの方を見るのが習慣になっていた。彼女はいつも冷静で、ラーンの言葉の裏側を見抜いているような気がした。
テルヘルは扉に刻まれた複雑な紋様をじっと見つめていた。彼女の指先に流れる魔力を感じると、イシェは背筋が冷たくなった。テルヘルはいつもこうだった。目的のためなら手段を選ばない。イシェはラーンと出会って以来、初めて誰かを信じられると思った瞬間があった。だが、テルヘルの存在はそれを揺るぎなく崩すものだった。
扉が開き、薄暗い通路が現れた。「さあ、行くぞ!」ラーンの声が響く中、イシェはテルヘルにちらりと目をやった。彼女はわずかに頷き、先へ進む。イシェは彼女の表情から読み取ることができた。
遺跡の奥深くで、何かが待っている。それは宝なのか、それとも…イシェは胸を締め付けるような予感を抱きながら、一歩ずつ進んでいった。