「よし、今回はあの崩れかけた塔だな。噂では奥に未開の部屋があるらしいぞ」
ラーンが興奮気味に地図を広げ、イシェは眉間にしわを寄せた。
「また噂話か? そんな簡単に大穴が見つかるわけがないだろう」
「ほら、イシェも少しは楽観的に考えようぜ!いつか必ず見つかるさ!」
ラーンの言葉にイシェはため息をついた。彼にはいつも、どこか現実から目を背けているような気がした。
そこにテルヘルが近づいてきた。その鋭い瞳は、まるで二人の様子を計っているようだった。
「準備はいいか?あの塔は危険な場所だ。特に奥の部屋には何かがいると噂されている」
ラーンの顔色が少し曇る。「噂話かい?」と呟いた。
テルヘルは小さく笑った。「噂かどうかは確かめてみないとわからないだろう。だが、一つ言えるのは、あの塔には必ず何かがあるということだ」
イシェはラーンの様子を心配しながらも、テルヘルの言葉に引き込まれた。何かがそこに存在している。そう感じるのは、単なる迷信だろうか?それとも、彼らの前に広がる遺跡の謎を解き明かす鍵となるものなのだろうか?
崩れかけた塔の入り口に足を踏み入れた時、三人はそれぞれ思い込みを抱きながら、未知の世界へと足を踏み入れていった。