ラーンが巨大な石の扉を押し開けた時、埃っぽい空気が彼らを包んだ。イシェは鼻をつまんで咳き込みながら、「またこんな薄暗い遺跡か…」と呟いた。ラーンの横顔には興奮の色が浮かんでいた。「今回は違うぞ！何か感じるんだ、この場所から」
テルヘルは冷静に周囲を警戒しながら言った。「無駄な期待は禁物だ。遺跡は常に危険を孕んでいる。気を引き締めていなさい。」彼女の鋭い視線は壁のひび割れや床に落ちている石片にも向けられていた。
彼らは懐中電灯の光を頼りに、奥へ進んだ。通路は狭く、天井は低く、不気味な静寂が支配していた。イシェは足元に気をつけながら歩き、時折後ろを振り返って確認した。ラーンは先頭を行き、まるで冒険心を燃やすかのように、石畳の上を軽快に歩を進めていた。
しばらくすると、通路の先に光が見えた。それは、小さな部屋に通じる入り口だった。部屋の中央には、祭壇が置かれていた。祭壇の上には、奇妙な形をした金属の物体があった。
「これは…」イシェは息を呑んだ。「聞いた話によると、この遺跡には古代文明の遺物があると…」。ラーンは興奮を抑えきれない様子で、祭壇に近づこうとした。その時、テルヘルが彼の腕をつかんだ。
「待て！」彼女は低い声で言った。「何かおかしい。この部屋の空気が…」
その瞬間、部屋の奥から不気味な音が聞こえてきた。それはまるで、獣の唸り声のようだった。ラーンの顔色が変わった。「何だあの音は…」。イシェは恐怖を感じながらも、剣を握りしめた。テルヘルは落ち着いて周囲を見回し、何かを探しているようだった。
「気をつけろ…」彼女は警告を発した。「この遺跡には、何か邪悪なものが潜んでいるようだ」
その時、祭壇から光が放たれ、部屋全体を照らした。そして、その光と共に、影が動き始めた。それは、巨大な獣のような姿で、鋭い牙と爪を持ち、目が赤く光っていた。獣は唸り声を上げながら、三人に襲いかかってきた。
ラーンは剣を抜き、獣に立ち向かった。イシェもまた、必死に剣を振り上げた。テルヘルは素早く動き、獣の攻撃をかわしながら、隙を突こうとした。激しい戦いが始まった。部屋は獣の唸り声と三人の叫び声で満たされた。
しかし、獣は強すぎた。ラーンの攻撃は獣の硬い皮膚を貫通できず、イシェの剣は獣の爪に弾き飛ばされた。テルヘルも、獣のスピードに苦戦していた。
その時、イシェが転倒し、獣の攻撃から逃れられなくなった。獣はイシェめがけて牙を剥いた。ラーンは叫びながら、イシェを庇うように飛び出した。
次の瞬間、光が部屋を満たした。獣は悲鳴を上げ、地面に倒れ込んだ。その光はすぐに消え、部屋は再び闇に包まれた。
ラーンの視界が戻ると、イシェが獣の攻撃から守られており、 unharmed だった。獣の体には、大きな傷跡があった。イシェは目を丸くして、ラーンを見つめた。「何…何が起きたのですか？」
テルヘルがゆっくりと立ち上がり、床に落ちている金属の物体を見つめた。「これは…快癒の石…」彼女は言った。「この遺跡には、古代文明の力が残されていたのだ…」