ラーンの大槌が石壁を打ち砕き、埃Clouds of dust billowed up, obscuring the passage ahead.
「よし、開いたぞ！」
ラーンの豪快な声は、イシェの耳に心地悪く響いた。彼女は coughing and waving away the dust, muttered under her breath, 「もう少し慎重にやれば…」
だが、ラーンは彼女の言葉を無視し、すでに奥へと足を踏み入れていた。彼にはいつも、何か大きなものを見つけるような興奮がこみ上げてくるのだ。イシェは彼の後ろをついていく。いつも通り、心の中でため息をつきながら。
「ここだ」テルヘルが静かに言った。彼女は薄暗い通路の奥に目を向け、壁に刻まれた奇妙な記号を指差した。「この遺跡の核心部だ。古代の技術が秘められているはずだ」
ラーンの心は高鳴り、イシェも緊張感が高まった。テルヘルの言うように、この遺跡は他のものとは違っていた。まるで、何か特別な秘密を抱えているかのようだった。
彼らはゆっくりと進み、やがて広間の前に辿り着いた。そこには、巨大な水晶体が輝いており、部屋全体を淡い光で満たしていた。水晶体からは、かすかな脈打のような音が聞こえてくる。それは、まるで生きているかのような音だった。
「これは…」イシェは言葉を失った。ラーンの心音も、普段より速く鼓動し始めていた。テルヘルは静かに微笑んだ。「ついに、見つけ出した…」
彼女は水晶体に向かって手を伸ばした。その時、突然、水晶体が激しく光り始め、部屋中に衝撃波が走った。イシェはよろめき、ラーンは剣を構えた。
「何だこれは…！」
水晶体の光が収まり、再び静寂が訪れた。だが、彼らの心には、何かが変わったのを感じ取ることができた。それは、まるで、世界が少しだけ歪んだような感覚だった。
テルヘルは、水晶体を見つめながら、小さく呟いた。「始まった…」