ラーンの大斧が石壁を砕き、埃が舞い上がる中、イシェは小さく息を呑んだ。彼の鋭い視線は、崩れかけた天井から漏れるわずかな光に集中していた。
「ここには何かある」とイシェは呟き、微細なひび割れを指差した。「遺跡の構造を見る限り、ここは単なる貯蔵庫ではないはずだ」
ラーンは不機嫌そうに鼻を鳴らした。「またお前か？いつも大げさな話ばかりだな。早く宝のありかを教えてくれよ、イシェ」
「宝なんて…」イシェが言葉を続ける前に、テルヘルが鋭い視線で彼らを黙らせた。彼女の瞳は天井の光に反射し、そこに映る影はまるで獣のように predatory だった。
「静かにしろ」と彼女は低く唸り声を上げた。「何かを感じた」
ラーンの斧が地面に激しく打ち付けられ、微細な振動が床を駆け巡った。その時、壁の奥深くから鈍い音が響き渡った。
イシェは心臓が激しく鼓動するのを抑えきれず、小さく息をのんだ。それは単なる石の崩落音ではなかった。まるで、何かがゆっくりと目覚めているような…微細な震動は、彼ら三人の足元から広がり始めた。