「よし、今回はここだ！」ラーンが目を輝かせ、古びた石碑を指差した。イシェは眉間に皺を寄せながら碑文を確かめた。「ここには『眠れる巨人の墓』って書かれてるけど…本当に財宝があるのかしら？」
ラーンの豪快な笑いが響いた。「財宝なんて secondary だ！遺跡の謎を解き明かすのが一番だぞ！」
イシェはため息をつきながら、テルヘルに視線を向けた。彼女は石碑を静かに見つめていた。その鋭い目はまるで過去を垣間見ているようだった。「この墓、ヴォルダン軍がかつて略奪した記録があるわ。もし眠れる巨人とは…」彼女は言葉を濁したが、ラーンとイシェは彼女の意図を理解した。
墓の中央には巨大な石棺があった。棺の表面には複雑な模様が刻まれており、まるで生きているかのようだった。「これは…！」ラーンの声が震えた。棺の蓋に描かれていた模様は、ヴォルダン軍の紋章と酷似していた。
イシェは緊張した様子で棺の周りをくまなく調べた。「何か罠があるかもしれない…」その時、棺の上から赤い光が放たれ、部屋全体を赤く染めた。石棺の蓋がゆっくりと開き始めた。
「何だこれは…！」ラーンが驚きの声を上げた。棺の中から立ち上る煙の中に、巨大な影が現れた。それは、まるで巨人そのものの姿だった。しかし、それは肉体ではなく、光で構成された幻影だった。
「これは…！」テルヘルは目を丸くした。「伝説の『復活の儀式』…！」
巨人の幻影はゆっくりと立ち上がり、周囲を睥睨した。その目は燃えるような赤色に輝き、空気を震わせるほどの威圧感があった。ラーンの顔色は青ざめたが、テルヘルの表情は一筋の希望を秘めていた。「この力を利用すれば…」彼女は呟いた。
巨人の幻影はゆっくりと動き始めた。それは単なる幻影ではなく、何かを成し遂げようとする意志を持っていたのだ。その意志とは一体？そして、復活した巨人は誰なのか？ラーンの財宝探しの冒険は、予期せぬ方向へと進んでいくことになった。