「おい、イシェ、あの石碑の隙間見てみろよ。」ラーンが指さす方向へ目をやると、イシェは眉間にしわを寄せた。「また無駄な期待か？ラーン、あの隙間なんて剣が入らないだろ。それに、遺跡の奥深くに行く前に、まずはこの部屋にある遺物を回収すべきだ」イシェは冷静に言った。「そうだな…でもさ、もしかしたら何かあるかもしれないじゃん？ほら、冒険ってのは意外性も大事なんだよ！」ラーンの言葉にイシェはため息をついた。
テルヘルが持ち込んだ地図によると、この遺跡にはかつて強力な魔術師が遺したとされる宝物が眠っているらしい。だが、遺跡は複雑な構造で、罠も数多く仕掛けられていた。「慎重に進もう」とイシェが提案するたびに、ラーンは「面白くない！」と反論する。
剣を片手に、ラーンの得意の直感に従い、彼は石碑の隙間へ手を突っ込んだ。すると、意外にも石碑の裏側に小さなレバーがあることに気づいた。「ほら見ろ！やっぱりあったじゃないか！」ラーンの興奮に、イシェも少しだけ期待を抱き始めた。レバーを引くと、壁の一部がスライドし、奥の部屋へと続く通路が現れた。「よし、行ってみようぜ！」ラーンは先陣を切って奥へ進んだ。イシェは深く息をつきながら、テルヘルに視線を向けた。「何か見つけたみたいですね」とテルヘルは口を開いた。彼女の鋭い目は、遺跡の奥底にある何かを感じ取っているようだった。