従姉妹

いとこ。父母の兄弟姉妹の娘。

物語への影響例

血縁の近さと心理的距離のアンビバレンス。家族でありながら他者である両義性。禁忌に近接した関係性。

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「おい、イシェ、準備はいいか?」ラーンが、粗末な剣を肩越しに見せつける。イシェは、いつも通り慎重に装備を整えていた。「まだだよ。少し待てないのかい?」

「急いでるんだって!今日はテルヘルさんが珍しい遺物を持ってくるって言ってたぞ」

ラーンの言葉にイシェは少しだけ心が躍った。テルヘルが持ち出す遺物はいつも高値で売れるものばかりだった。最近、ビレーの市場では物価が上がっていて、イシェは実家へ送るお金が足りなくなっていた。特に従姉妹の世話になることが多くなって以来、経済的な負担が増し、イシェの心には不安が渦巻いていた。

「よし、準備完了だ」イシェが小さくうなずくと、ラーンは先に遺跡へと走り出した。イシェは深く息を吸い、その後に続く。遺跡の入り口に立つと、テルヘルが待っていた。彼女はいつも通り鋭い眼光で二人を見下ろす。「今日はいいものを見つけた。古代ヴォルダンの遺物だ」

テルヘルの言葉にラーンは興奮し、イシェも興味を隠せなかった。ヴォルダンは強力な国だが、その歴史は謎に包まれていた。特に、テルヘルが復讐を誓うヴォルダン王家に関する情報はほとんどない。イシェは、テルヘルがどんな理由でヴォルダンに復讐したいのか、いつか尋ねてみようかと考えていた。

遺跡内部へと進むと、薄暗い通路が続く。ラーンの足取りは軽快だが、イシェは慎重に足音一つ一つを確かめながら進んでいく。テルヘルは二人を先導するように歩き、時折振り返って様子を伺う。

「ここだ」テルヘルが壁の奥にある小さな部屋の前に立ち止まった。「ヴォルダン王家の紋章だ。この部屋には何かあるはずだ」

ラーンが興奮気味に壁を調べ始めると、イシェは背筋が凍るような感覚に襲われた。壁から突き出た石の彫刻に刻まれた紋章は、イシェが幼い頃、従姉妹が絵本の挿絵で教えてくれたものと酷似していたのだ。

「何だ?」ラーンが怪訝そうに言った。「イシェ、どうしたんだ?」

イシェは言葉を失い、ただその紋章をじっと見つめていた。あの紋章は、従姉妹が亡くなる前に、最後に話してくれた秘密に深く関わっていたのだ。