ラーンの粗雑な剣振りが埃を巻き上げ、イシェの眉間に皺が寄った。「もっと慎重に、ラーン！」
「わかったわかった、イシェ。そんなに急ぐんだろ？」
二人は薄暗い遺跡の通路を進んでいく。壁には崩れかけた石畳と、謎の文字が刻まれた石板が並んでいた。テルヘルは後方を歩いていたが、時折振り返って石板に目をやった。彼女の鋭い視線はまるで石板から何かを読み取ろうとしているかのようだった。
「ここだ。」テルヘルが言った。「この石板には、遺跡の心臓部への道が開かれているはずだ。」
イシェが石板を指でなぞり、「ここに何か刻まれているみたいだけど...」と呟くと、ラーンは不機嫌そうに言った。「また難しい話か？早く宝の場所を見つけろよ！」
テルヘルは無視して石板を研究し、やがて「ここだ。」と言いながら、石板の一部の模様に手を当てた。すると石板から青い光が立ち上り、通路の壁に隠されていた扉が開いた。
「さあ、行くぞ。」
テルヘルは先頭を歩き、ラーンとイシェは後ろを続いた。扉の先には広々とした部屋が広がっていた。中央には巨大な祭壇があり、その上に金色の宝箱が置かれていた。
「やった！ついに大穴だ！」ラーンの目は輝き、彼は興奮気味に宝箱に駆け寄ろうとした。
しかし、その時、祭壇の周りに隠れていた影から何者かが現れた。黒いローブをまとった男たちで、手には鋭い剣を握っていた。
「待て！」テルヘルが叫んだ。「ここはヴォルダン軍の罠だ！ 」
ラーンは動揺し、イシェは冷静に状況を判断しようと試みた。彼らは挟み撃ちにされている。
「お前たちは一体...」ラーンの言葉は途切れ、男の一人が彼に向かって剣を振り下ろした。
その時、テルヘルが立ち上がり、男たちに剣を向けた。「私はこの遺跡の秘密を知っている。そして、お前たちには敵わない。」
男たちは互いに視線を交わし、リーダー格の男が言った。「彼女に言わせるのも悪くないな。彼女は一体何を...？」
イシェはテルヘルの言葉から何かを感じ取った。「待て、テルヘル。もしかして...お前は？」