ビレーの夕焼けは、いつもより少し鮮やかだった。ラーンの視界には、イシェが慣れたように地図を広げている姿が入った。テルヘルは背後で、何かを呟きながら小さな瓶を振っている。
「今日はあの遺跡だな。噂によると、そこには彩度が高い宝石が眠っているらしい」
ラーンの声に、イシェは小さく頷いた。「情報源は確実なものじゃないけれど、可能性はあるわ。ただし、周辺の魔素濃度は高いらしいから、注意が必要だ」
「魔物が出るとか、そんな話もあるよな」
ラーンは少し不安げに言ったが、すぐにいつもの明るい笑顔を取り戻した。「でも、大丈夫だ。俺がいるだろ?イシェもいるし、テルヘルも一緒だもんね」
テルヘルは瓶を片手に立ち上がった。「準備はいいか?宝石だけでなく、他の遺物も手に入れる必要がある。特に、あのヴォルダンが欲しがるようなものを見つけられれば…」
彼女の目は冷たく光っていた。ラーンの心には、いつもより少し冷たい風が吹き抜けた気がした。彼らは、彩度豊かな夕焼けに照らされて、遺跡へと向かった。