ラーンが巨大な石扉の前に立ち尽くし、眉間にしわを寄せていた。「ここだな、テルヘルが言ってた場所だ」
イシェはラーンの背後でため息をつきながら、地図を広げた。「でも、これって本当に遺跡の入り口なのかしら？ ああ見えてるような気がしないんだけど…」
「大丈夫だよ、イシェ。テルヘルは間違いないって言ってただろ？」ラーンは自信満々に笑ったが、彼の目はどこか不安げだった。
テルヘルは彼らの後ろで腕を組んでじっと石扉を見つめていた。「この扉の奥には、ヴォルダンに奪われた当主の遺物があるはずだ」と彼女は冷たく言った。「あの宝に辿り着けば、我々の復讐も成功するだろう」
イシェはテルヘルの言葉を聞いて背筋が寒くなった。彼女がヴォルダンへの復讐心を持っているのは知っていたが、その執念深さはどこか恐ろしいものを感じさせた。「でも、この扉を開ける方法がわからないんだ…」と彼女は不安そうに言った。
ラーンの視線が石扉に注がれた。そこに複雑な模様が刻まれており、まるで生きているかのように光り輝いていた。「よし、見てろよイシェ！俺の力を見せてやるぜ！」そう言ってラーンは剣を抜き、扉の模様を叩き始めた。
しかし、彼の攻撃は全く効かなかった。石扉は硬く、傷一つつかない。ラーンの攻撃は空振りに終わった。
イシェが慌てて言った。「ラーン、やめて！ 何か他に方法があるはずよ！」
その時、テルヘルが静かに言った。「この扉には古代の呪文が必要だ」と彼女は小さな石版を取り出し、複雑な文字を唱え始めた。
呪文が響き渡ると、石扉に刻まれた模様が光り輝き始め、ゆっくりと開いていった。その奥には、暗闇に包まれた通路が広がっていた。
ラーンは興奮した様子でイシェの手を引っ張り、「行こう！ 宝物を探すぞ！」と叫んだ。
テルヘルは彼らを静かに見守りながら、石扉の隙間から光る古代の文字を見つめた。彼女の瞳には、復讐への燃えるような炎が宿っていた。