「おいラーン、今日は何処に行くんだ？」イシェが眠い目をこすりながら尋ねた。ラーンの粗雑な寝具から立ち上がり、剣を腰に携える仕草はいつもと変わらない。「ほら、今日はあの大遺跡の南쪽にある洞窟だと言ってたろ？テルヘルが言うには、そこには強力な魔物の骨があるらしいぞ！」ラーンは目を輝かせながら答えた。イシェはため息をついた。「またテルヘルの言いなりか。あの女の話はいつも怪しいんだよ。」
「あいつは嘘つきじゃないよ！それに今回は報酬がいいんだぞ！あの強力な魔物の骨を手に入れたら、ビレーの酒場で一晩中飲み明かせるぞ！」ラーンの言葉にイシェも少しだけ興味を持った。「よし、行ってみるか。でも、何かあったらすぐに逃げるぞ。」
三人はビレーを出発し、険しい山道を登り始めた。テルヘルはいつも通り、先頭を歩いていた。彼女の背中は凛としており、どこか孤独を感じさせた。ラーンはイシェに小声で「あの女は何を隠してるんだろうな」と尋ねた。「知らないよ。でも、あの強力な魔物についてもっと知りたいんだと思う。」イシェは答えた。
洞窟の入り口に近づくと、冷たい風が吹き付けてきた。テルヘルが手を挙げると、二人は立ち止まった。「ここからは慎重に進もう。魔物の骨は強力な魔力を持っているらしい。油断すると命を落とすぞ。」テルヘルの言葉にラーンとイシェは緊張した表情を見せた。洞窟の中は暗く、湿った石畳で敷き詰められていた。
奥へと進むにつれて、空気が重くなり始めた。壁には奇妙な模様が刻まれており、不気味な光を放っていた。イシェは背筋が凍るような感覚を感じた。「何かいる…」ラーンの声に、イシェも小さく頷いた。すると、洞窟の奥から轟音が響き渡り、地面が激しく揺れた。
「魔物だ！」テルヘルが剣を抜くと、ラーンとイシェもそれに続いた。三人は互いに力を合わせ、強力な魔物との戦いに挑むことを決意した。