ラーンの大笑い声がビレーの朝霧に溶けていった。今日も遺跡だ。イシェはいつものように深いため息をつきながら、朝食を片付け始めた。ラーンは興奮気味に yesterday's loot を並べている。錆びた剣と欠けた石像の破片。
「ほら、イシェ！見てみろよ！今回は何か大物が入っている予感がするんだ！」
イシェは苦笑した。「また大穴か？ラーン、あの遺跡は既に何十回も探検しているわ」
「でも今回は違うんだって！テルヘルが言ってたじゃないか。何か新しい情報を得たんだって。」
テルヘルは謎の女だ。ヴォルダンとの復讐を誓うとだけを口にする。その目的のためなら手段を選ばない冷酷な一面があるものの、ラーンとイシェにはある程度の信頼を置いているようだ。
「新しい情報？」イシェは少し興味を引かれた。「どんな情報？」
「詳細はまだ教えてくれなかったけど…何か大きな発見につながるらしいんだ！」
ラーンの目は輝いていた。イシェは彼の熱意に心を打たれることもあるが、いつもどこか不安な気持ちになる。テルヘルの目的には何か暗い秘密が隠されている気がするからだ。
ビレーを出ると、三人は森を越え、険しい山道を行く。遺跡への道は危険な場所だ。魔物が出没するし、崩落事故もよくある。それでもラーンはまるで遊びに行くように軽快に歩いていた。イシェは彼の後ろを少し離れた場所で慎重に足取りを確かめながら進む。テルヘルはいつも冷静沈着に周囲を警戒しながら歩いている。
遺跡の入り口には、崩れかけた石柱がそびえ立っていた。「ここだ」とテルヘルが言った。「準備はいいか？」
ラーンは剣を構え、イシェは小さな魔法の石を握りしめた。三人は遺跡へと足を踏み入れる。暗い通路を進んでいくと、空気が重く、不気味な静けさだった。
「何かを感じる…」イシェは小さく呟いた。「何か…邪悪なものを感じる…」
ラーンの表情が曇り始めた。「何だ？イシェ、何か見えるのか？」
イシェは首を横に振ったが、不安な気持ちが拭えないまま遺跡の奥へと進んでいった。すると、突然、床が崩れ始め、ラーンが下に落下してしまった！
「ラーーン！」イシェとテルヘルが駆け寄ろうとしたその時、崩れた床の下から、何かが這い出てきた…。それは巨大な影で覆われた、邪悪なオーラを放つ怪物だった。
イシェは驚愕した。「これは…！」
テルヘルは冷静に剣を抜いた。「この遺跡には何かが潜んでいたようだ…」
そして、三人の運命は大きく動き始めるのだった。