「おい、イシェ、ここ怪しいぞ。」ラーンが低い声で呟き、懐から剣を抜いた。薄暗い遺跡の奥深く、壁には古びた呪文が刻まれている。イシェは慎重に足取りを確かめながらラーンの後ろを歩いた。「何か感じる？」「いや、感覚的なものだ。何かが…違うって。」ラーンは眉間に皺を寄せ、周囲を警戒した。
その時、壁から不気味な音が響き始めた。まるで石が擦れ合うような、金属的な音だった。イシェは背筋が凍りつくのを感じた。「何だあの音？」「知らないが、悪い予感しかしない。」ラーンの視線は壁に集中していた。音は次第に大きくなり、壁の一部が崩れ落ちた。そこには、錆び付いた鉄の扉があった。
扉の隙間から、薄暗い光が漏れてきた。「開けてみようか？」イシェが尋ねると、ラーンは頷いた。扉を押し開けると、そこは広くて暗闇に包まれた部屋だった。中央には、巨大な石棺が置かれている。棺の上には、金でできた冠と剣が飾られていた。「 Jackpot! 」ラーンは大興奮で叫んだ。イシェは慎重に部屋を見渡した。
「待て、ラーン。何か変だぞ。」イシェの声を無視して、ラーンは石棺に近づく。その時、石棺から不気味な声が響き渡った。
「汝は何者ぞ？」
ラーンの足がすくみかけた。「こ、これは…！」イシェは剣を抜いてラーンの前に立った。「誰だ？出てこい！」その時、石棺の蓋が開き、中から黒い影が現れた。それは人型の姿をした謎の存在だった。
「汝、我を呼び覚ましたとは…」存在はゆっくりと話し始めた。「汝の魂を捧げよ…！」ラーンの顔色が変わった。
イシェは冷静に状況を判断した。「ラーン、逃げろ！ここは危険だ！」ラーンは一瞬ためらったが、イシェの言葉に従い、部屋から走り出した。影の怪物はゆっくりと彼らを追いかけてきた。
二人は迷路のような遺跡の中を必死に逃げる。後ろから聞こえてくる足音はどんどん近づく。ラーンの呼吸は荒くなり、イシェも体力的に限界を感じていた。「もう駄目だ…」ラーンが絶望的な表情を見せた時、イシェは何かを思い出した。「待て、ラーン！あの剣…！」
イシェは振り返り、石棺に飾られていた金色の剣を思い出す。それはただの飾り物ではなく、何か特別な力を持つものだと直感した。ラーンはイシェの言葉を理解し、振り返った。影の怪物が目前まで迫っている。「あの剣で戦え！もしかしたら…」イシェは必死に叫んだ。
ラーンの目は金色の剣に注がれ、希望の光を宿すように輝き始めた。