「おい、イシェ、お前も見てみろよ!こんなの初めてだぞ!」
ラーンが興奮気味に大きな石板を指さした。イシェは眉間にしわを寄せながら石板に近づき、慎重に表面の模様を確認していた。
「これは…古代ヴォルダン語だ。複雑な呪文が刻まれてる。ラーン、触らないで!」
イシェの声は冷静だったが、ラーンの好奇心は抑えられなかった。彼は石板に手を伸ばそうとした瞬間、テルヘルが鋭い視線で彼を制止した。
「待て、ラーン。この石板には危険が伴う可能性がある。古代の呪文は安易に触れるべきものではない。」
ラーンの無邪気な瞳は一瞬曇ったものの、すぐにいつもの明るさを取り戻した。
「わかったわかった。イシェも言ってるように、慎重にやろうぜ。テルヘルさん、この石板について何か知ってるのか?」
テルヘルは薄暗い遺跡の奥深くに目を向け、静かに言った。
「古代ヴォルダン語を解読できる者は少ない。だが、この呪文は…強力な魔力を秘めている可能性がある。」
彼女の言葉にラーンとイシェは息をのんだ。テルヘルがいつも冷静沈着な態度で話しているにも関わらず、今回はどこか緊張した様子だった。
「では、どうすればいいんですか?」
イシェが尋ねた。テルヘルは深く息を吸い込み、ゆっくりと口を開いた。
「この石板を持ち帰る。そして、私の知人である古代ヴォルダン語の専門家に解読してもらう。その過程で危険な事態が起こる可能性もある。しかし、この石板に秘められた力は…我々の目的達成に大きく貢献するだろう。」
ラーンの顔は興奮と不安が入り混じった表情に変わった。イシェはテルヘルの言葉に深く考え込みながら、慎重に頷いた。
「わかった。危険を冒すことになるかもしれないけど、石板を手に入れることが我々の夢に近づく一歩になるなら…やってみよう。」