ラーンの大斧が石壁を粉砕した。埃塵が舞う中、イシェは鼻をつまんで不機嫌な顔をした。「また無駄な動きだ。あの扉は魔法で施されているはずだ。」
「そうかな? 少し怪しいと思ったんだ」とラーンは肩をすくめた。彼の視線は遺跡の奥へと向けられていた。そこには、壁に埋め込まれた巨大な石棺があった。
テルヘルが近づき、棺に刻まれた文様を指さした。「ヴォルダン王家の紋章だ。ここに埋葬されているのは、かつてこの国を支配した王か、あるいはその一族の一員かもしれない。」
ラーンの顔色が変わった。「王の墓か…もしかしたら大穴があるかもな!」彼の目は輝き始めた。
イシェはため息をついた。「また夢を見たな。ここはただの墓だ。宝などない。」
「そんなことないぞ! 王の墓なら、何かしら価値あるものがあるはずだ!」ラーンは興奮気味に言った。
テルヘルは冷静に言った。「王の墓から持ち出せるものは限られている。この棺を開けるには特別な方法が必要だ。」
「 méthode…?」ラーンの顔色は曇った。「そんな面倒なことをする必要はない! この斧で開けばいいんだ!」
彼は再び石棺を叩き始めたが、石棺はびくともしなかった。イシェがラーンを制止しようとしたその時、石棺の表面から青い光が放たれ、三人は眩い閃光に包まれた。
目を覚ますと、彼らは狭い石室の中に閉じ込められていた。石室の中央には、巨大な石棺があり、そこには青い光が脈打っていた。
「これは…?」イシェは恐怖で声が震えた。
テルヘルは冷静さを保ち、石棺の表面に刻まれた文様を注意深く観察した。「これは…幽閉魔法だ。この石棺を開けるためには、特別な鍵が必要だ。」
ラーンの顔色は青ざめた。「鍵…? そんなものどこにあるんだ!?」
「わからない…」テルヘルはため息をついた。「だが、この石棺が開かれるまでは、私たちはここに幽閉されることになるだろう。」