ラーンが巨大な石扉を押し開けると、埃っぽい空気が彼らを包んだ。イシェが鼻をつまんで「またこんな薄暗い遺跡か…」と呟くと、ラーンの顔から期待に満ちた光が消えていくのが見えた。テルヘルは背後から「愚痴ばかり言わずに、早く中を調べろ」と冷たく言い放った。
彼らは古い石畳の道を進み、壁には奇妙な文様が刻まれていた。イシェは指で撫でて「古代人の文字…もしかしたら遺跡の地図を示しているのかもしれない」と呟いたが、ラーンは興味なさそうに剣を構えながら「早く財宝を見つけ出してくれよ。俺の腹は減ってるんだ」と言った。
その時、テルヘルが突然立ち止まり、眉間に皺を寄せた。「何か感じる…異様な力…」。彼女は目を閉じ、深く息を吸い込んだ。「まるで…幻視のように…」と呟き、ゆっくりと石畳の上を進み始めた。ラーンは困惑し、イシェはテルヘルの様子に不安を感じながら彼女の後を追った。
テルヘルが辿り着いたのは、部屋の奥にある祭壇だった。その上には、奇妙な形の水晶が置かれていた。テルヘルはゆっくりと水晶に手を伸ばし、触れた瞬間、彼女の瞳が赤く光り始めた。
「これは…ヴォルダン王家のcrest…！」テルヘルの声が震えていた。「そしてこの水晶は…私の幻視の中に何度も出現した…」彼女は水晶を握りしめながら、呟き続けた。「私の復讐の鍵…ここにある…」
ラーンとイシェは、テルヘルの言葉の意味を理解できなかった。しかし、彼女の瞳に燃える狂気を感じ、どこか恐ろしい予感がした。この遺跡から出るには、もう遅すぎるかもしれないと感じた。