ビレーの薄暗い酒場で、ラーンが豪快に笑っていた。「今日の遺跡は手応えがあったな!あの謎の光石、一体何だったんだろう?」
イシェは眉間に皺を寄せながら、ラーンの言葉に首を傾げた。「謎の光石…またしても大穴にはつながらなかったじゃないか。ラーン、いつまでそんな夢を見るつもりだ?」
「夢?いや、これは現実だ!いつか必ず大穴を見つける!」ラーンは自信満々に宣言するが、イシェは彼の瞳に映る希望よりも、疲弊した影を感じ取った。
その時、扉が開き、テルヘルが入ってきた。「今日は収穫があったようですね。報告を聞かせてください」彼女は冷徹な目で二人を見つめる。ラーンの豪快な態度に少しだけ微笑みを浮かべながら、イシェは報告を始めた。
「あの光石…奇妙なエネルギーを感じました。まるで…何かが眠っているような…」イシェの言葉に、テルヘルは興味を示した。「眠っている…?詳しく説明して」
イシェはためらいがちに言葉を続けた。「…まるで、夢を見るような感覚でした。幻のような風景…そして、そこに浮かび上がる、巨大な塔の姿…」
ラーンの顔が曇った。「塔か…。あの遺跡にはそんなものがあったのか…」
テルヘルは沈黙し、しばらく二人を見つめた後、ゆっくりと口を開いた。「この光石が、その塔への鍵になる可能性があります。我々は、この塔を見つけなければなりません」
彼女の言葉に、ラーンとイシェは同時に息をのんだ。夢か現実か…見境が分からなくなるような感覚に襲われた。
「塔…」ラーンの瞳は輝きを増し、イシェも彼と同じように、何かが動き始めたのを感じた。それは、単なる遺跡探検を超えた、何か大きなものへの扉が開かれたような気がしたのだ。