ラーンの大斧が、埃っぽい遺跡の壁を粉砕した。石塵が舞う中、イシェは眉間に皺を寄せて周囲を観察していた。「また無駄な労力だ」と呟いた。
「ほら、イシェよ。こんな時こそ大穴が見つかるぞ！」ラーンは陽気に笑った。だが、彼の目はどこか焦りを隠せない。最近、遺跡探索がうまくいっていないのだ。
そこに、テルヘルが静かに歩み寄ってきた。「何か発見したか？」彼女の冷たい視線が、二人を刺すようだった。
「まだ何もない」イシェが答えた。テルヘルの目的は、ヴォルダンへの復讐を果たすため、遺跡に眠るある伝説の遺物を見つけることだった。ラーンとイシェにはその詳細を知らされていなかったが、高額な報酬と引き換えに協力している。
「時間が無駄だ」テルヘルは言った。「この遺跡は既に空っぽだ」
その時、ラーンの視線が壁の一点に留まった。そこには、かすかに光る模様が浮かび上がっていた。それはまるで、幻影のように揺らめいているように見えた。
「イシェ、見てくれ！」ラーンが叫んだ。
イシェもその光に気づいた。「これは…？」
テルヘルは二人を睨みつけた。「何だ、あれは？」
ラーンの好奇心とイシェの慎重さがせめぎ合う中、彼らは幻影の光に導かれ、遺跡の奥深くへと進んでいった。そこには、誰も見たことのない光景が待っていた…。