「よし、今日はここまでだ。日が暮れる前にビレーに戻らないと」イシェが呟きながら、重い足を動かした。ラーンは、いつものように疲れた様子を見せなかった。
「まだ行けるぞ!ほら、あの奥に何かあるんじゃないか?」ラーンの指さす方向には、崩れかけた石壁が見えた。「そうかな?もう十分だ」イシェは Sigh を漏らしながら、振り返った。
その瞬間だった。背後から不気味な音が響き渡り、地面が激しく振動した。ラーンとイシェは同時に振り返ると、巨大な岩石が崩れ落ちてきた。
「逃げろ!」テルヘルが叫びながら、ラーンの腕を引っ張り、三人で近くの洞窟に飛び込んだ。岩の破片が洞窟の入り口を塞ぎ、暗闇が彼らを包んだ。
「何だったんだ?」イシェの声が震えていた。「遺跡の奥深くから何かが起きたようだな」テルヘルは落ち着いて言った。「あの音…あれは…」ラーンの顔が青ざめた。「あれは、ヴォルダン軍の兵器だ!」
ビレーへの帰路は絶望的に思えた。