「おい、イシェ、あれ見て!」ラーンが興奮気味に指さした先には、崩れかけた石のアーチが半分埋もれるように立っていた。「遺跡だ!もしかしたら、今回は大穴が見つかるかも!」
イシェはため息をつきながら、ラーンの後ろをついていった。「いつも大穴だ大穴だと騒いでいるくせに、今まで一度も大したものは見つからなかったじゃないか」と呟く。だが、ラーンの無邪気な熱意に、イシェ自身も心躍るものがあった。
「よし、テルヘル!準備はいいか?」ラーンが振り返ると、テルヘルは冷静な表情で頷いた。「準備は万端だ。遺跡の規模から判断すると、中規模程度の遺物が見つかる可能性もあるだろう。注意深く探索すること」彼女の目は鋭く、まるで遺跡の奥底にある何かを透視しているかのようだった。
彼らはアーチの下をくぐり抜けると、そこは広大な地下空間が広がっていた。壁には複雑な模様が刻まれ、天井からは奇妙な形の水晶が無数にぶら下がっていた。
「ここは...」イシェは言葉を失った。「まるで、古代の宮殿のようじゃないか」
ラーンの目が輝いた。「そうだな!もしかしたら、ここはかつて帝政の貴族が住んでいた場所かもしれないぞ!」
テルヘルは慎重に周囲を見回し、「遺物の可能性が高い場所はここだ。警戒を怠るな」と指示を出した。
三人は慎重に遺跡の奥へと進んでいった。壁には剣や盾などの武器が飾られ、床には骨と錆びた鎧が散らばっていた。かつて栄華を極めた文明の残骸が、静かに時を刻んでいた。
その時、イシェは奇妙な光を放つ水晶に気がついた。「あれは何だろう?」
ラーンが近づこうとした瞬間、水晶から強烈な光が放たれ、三人は目を塞いだ。光が消えた後、彼らは見慣れない光景に言葉を失った。
そこには、かつて帝政の栄華を象徴する壮大な宮殿が広がっていたのだ。壁は金で装飾され、床には宝石が敷き詰められ、天井からは煌びやかなシャンデリアが下がっていた。
「これは...!」ラーンは目を丸くした。
イシェも言葉を失い、ただその光景に圧倒された。
テルヘルの表情は、普段の冷静さから一転して興奮を隠せないものになっていた。「ついに...見つけた!ヴォルダンが隠していた真実!」と彼女は呟いた。
だが、その言葉の後、遺跡の奥から不気味な音が聞こえてきた。三人は互いに顔を見合わせた。彼らの前に立ちはだかるのは、未知なる危険だった。