日差しが容赦なく照りつけるビレーの広場。ラーンはイシェに絡みながら、「今日は絶対何か掘り出すぞ!」と豪語した。イシェはため息をつきながら、地図を広げた。「遺跡の位置を確認したけど、今回は特に危険な場所らしいわよ。念のため準備をしっかりして」と冷静に言った。
テルヘルが近づいてきて、「二人とも準備はいいか?今日の目標はあの遺跡の奥深くにある『聖なる石』だ。情報によると、ヴォルダン軍が奪おうとしているという話だ」と告げた。ラーンの顔色が一変した。「ヴォルダンか…あの国には絶対に負けられない!」と拳を握りしめた。イシェは少し不安そうにテルヘルの顔を見た。
遺跡の入り口には、かつての栄華を感じさせる石柱がそびえ立っていた。朽ち果てた壁に沿って慎重に進んでいくと、不気味な静けさに包まれた空間が広がった。ラーンの剣が光り、イシェは細心の注意を払って周囲を探る。
深まる闇の中を進み、ついに聖なる石がある部屋に到着した。そこには、淡い青色に輝く美しい石が安置されていた。ラーンが手を伸ばそうとしたその時、地面が激しく揺れ始めた。「これは…!」イシェの声が震える。
崩落が始まった。石柱が倒れ、天井から岩が落ちてくる。ラーンはイシェを庇いながら、必死に逃げ出した。テルヘルも冷静さを保ち、道を切り開いていく。
なんとか崩壊する遺跡から脱出できた一行。疲れ切った3人は地面に座り込んだ。イシェは深く息をつき、「あの石は…?」と尋ねた。
テルヘルは沈黙した後、「今回は諦めるべきだ。ヴォルダン軍が動き出す前に、この場所を離れよう」と告げた。ラーンの顔色が曇った。「あの石を取れなかった…」「大丈夫だよ、ラーン」イシェは彼の肩に手を置いた。「まだ希望はあるわ。いつか必ず…」
夕焼けが空一面を赤く染めていく中、3人はビレーへと戻っていった。彼らの心には、聖なる石への執念と、ヴォルダンへの憎悪、そしてどこか遠くにある「希望」の光が灯っていた。