ラーンの粗雑な斧の swing が埃を巻き上げ、壁面の一部分をもろく崩した。イシェは眉間に皺を寄せながら、崩れかけた石の破片を足で蹴飛ばした。「またか、ラーン。あの程度の衝撃で崩れるような壁なら、最初から探すべきじゃなかっただろう。」
ラーンは肩をすくめた。「いや、ほら、見てみろよ。この模様、どこかで見たことないか？」
イシェはため息をつきながら、壁の模様をじっと見つめた。確かに、幾何学的な模様が複雑に刻まれており、どこかで見たような印象を与えるものだった。しかし、彼女はそんな些細なことに気を取られる余裕はない。テルヘルからの依頼を成功させるためには、より効率的に遺物を探す必要があるのだ。
「いい加減にしろ、ラーン。あの模様はただの装飾だ。無駄な時間を過ごしてるぞ。」イシェがそう言うと、ラーンの顔色が少し曇った。「おいおい、イシェ。お前はいつもこうだな。面白くない奴だ。」
その時、突然、壁の奥から鈍い音が聞こえた。イシェとラーンは同時に顔を上げ、互いに言葉を交わすことなく、剣を構えた。音は次第に大きくなり、壁の一部が大きく崩れ落ちた。そこには、石でできた階段が現れた。
「これは...」イシェの言葉は途絶えた。階段の下には、深い闇が広がっていた。ラーンの顔には、興奮と好奇心が入り混じった表情が浮かんだ。「よし！ついに大穴が見つかったぞ！」
イシェはラーンの熱気に押されながらも、冷静さを保とうとした。「待てよ、ラーン。ここは注意が必要だ。いったいどこへ続くのかわからない。」しかし、ラーンの耳には届いていなかった。彼はすでに階段を駆け下りて、闇の中へと姿を消していた。
イシェはため息をつきながら、テルヘルに連絡を取った。「状況報告です。遺跡内部で新たな通路を発見しました。しかし、ラーンが先に進んでしまったため、状況把握が困難です。」
テルヘルの声が冷たかった。「わかった。状況を整理し、安全確保を最優先にして行動するよう指示されたぞ。」
イシェは深呼吸をして、階段を降り始めた。ラーンの無謀さに呆れながらも、彼を信じる気持ちは揺るぎなかった。そして、この遺跡が彼らの運命を変える「工程」の一歩となることを、彼女は深く感じていた。