ラーンの大柄な体躯が崩れ落ちた石柱の間を縫うように進むと、イシェが小さくため息をついた。「本当にこんな狭い道を通らなきゃいけないのかしら?」
「ほら、宝探しだぞ!ワクワクするだろ?」ラーンは陽気に答える。しかし、彼の顔色も少し青白い。この遺跡は彼らが今まで潜った中でも特に狭く、危険な場所だった。
イシェは懐から小さなランプを取り出し、壁に沿って光を当てながら進む。「何時間もこんな場所で迷い込んだら、本当に宝が見つからなくても諦めようかしら」。
「諦めるなんて言わせないぞ!」ラーンの声が響き渡る。すると後ろからテルヘルが近づいてきて、低い声で言った。「少し落ち着きなさい。私は地図を頼りに進んでいる。出口は近いはずだ。」
テルヘルは地図を広げると、複雑な経路を指さしながら説明を始める。彼女の冷静な態度と確実な指示に、ラーンとイシェも少し安心する。
「よし、ここが次のポイントだ。この壁に何か仕掛けがあるはずだ」とテルヘルが言う。
イシェは壁を丁寧に触りながら、「何か凹凸がないか探してみましょう」。すると、彼女の指が小さな突起物に引っかかった。「あっ、ここに何かある!」
イシェの発見にラーンも目を輝かせる。「よし、これで宝が見つかるぞ!」
しかし、突起物を押した瞬間、壁一面に刻まれた複雑な模様が光り始めた。そして、床から激しい振動が伝わる。
「これは…!」テルヘルが驚愕の声を上げる。壁の模様はまるで巨大な歯車のように動き始め、部屋全体が回転し始めた。
ラーンとイシェはバランスを失い転げ落ちる。「何だこれは!?」ラーンは叫ぶ。
「ここは単なる遺跡ではない…」テルヘルは冷静に状況を分析しながら言った。「この遺跡自体が巨大な仕掛けの一部なのかもしれない」。
回転する部屋の中、3人は必死にバランスを保ちながら、出口を探す。彼らは巧みな工夫と協力によって、この危機を乗り越えることができるのか?