ビレーの市場は活気に満ち溢れていた。ラーンとイシェは今日も遺跡探索の後、疲れ切った体を休めながら、屋台の食べ物を頬張っていた。
「今日の報酬で、あの新しい剣を手に入れられるかな？」ラーンが目を輝かせた。イシェは苦笑しながら、ラーンの肩を叩いた。「またそんなことを言ってる。あの剣は高すぎるよ。それに今日は遺跡から何も見つからなかったじゃないか」。
その時、テルヘルが現れた。「二人は元気そうだね。今日の報酬は少し多めに払うから、次はもっと深く潜ってほしい。特に古い工場跡地だ。」テルヘルの言葉にラーンは興奮した様子を見せたが、イシェは眉をひそめた。「工場跡地は危険だって聞いたことがあるよ。何かあったら責任取れるのか？」
テルヘルは冷たい目でイシェを見つめ、「私は約束を守る。そして、二人は私にとって必要な存在だ。」とだけ言って立ち去った。イシェはラーンの興奮を抑えられず、テルヘルの言葉に不安を感じながらも、結局は工場跡地へ向かうことになった。
工場跡地の入り口は崩れかけていて、不気味な静けさが漂っていた。中は錆びついた機械や壊れたパイプが放置されたままだった。ラーンは好奇心を抑えきれない様子で、遺跡の奥へと進んでいった。イシェは後をついていくが、足取りが重かった。
工場跡地の奥深くでは、何かが動いている気がした。ラーンとイシェは緊張しながら、剣を握りしめ、進み続けた。そしてついに、巨大な機械の前にたどり着いた。その機械はかつて何かを製造していたのだろう。
「これは…一体何だ？」ラーンの声が震えていた。イシェも言葉に詰まった。機械の上には、ヴォルダン国旗が掲げられていた。工場跡地はヴォルダンのものだったのだ。
その時、背後からテルヘルの声が聞こえた。「見つけたようです。この工場はヴォルダンが秘密裏に進めていた兵器開発施設でした。」テルヘルは満足そうな表情で言った。「この情報を元に、ヴォルダンを弱体化させることができるでしょう」。ラーンとイシェは言葉を失った。彼らは自分たちが利用されていたことに気づいたのだ。