ビレーの賑やかな市場を背に、ラーンはイシェに肩を叩いた。「今日はいい日になりそうだな!あの遺跡、ついに大穴が見つかる気がするぜ!」
イシェは眉間にしわを寄せた。「またそんなこと言ってる。あの遺跡はすでに何度も探索してるでしょ。何も見つからなかったって」
「でも今回は違う!俺の直感が言ってるんだ!」ラーンの瞳には自信が輝いていた。イシェはため息をつきながらも、ラーンの後ろについて歩いた。
3人はビレーから少し離れた場所にある遺跡へと向かった。その遺跡は、かつて栄華を誇った文明の残骸が散らばる、巨大な石造りの建造物だった。
「よし、イシェ。お前はいつも通り後方警戒だ。俺とテルヘルが先へ進む」ラーンは剣を抜き、遺跡の中へと足を踏み入れた。テルヘルは鋭い目で周囲を警戒しながら、ラーンの後を続いた。イシェは少し離れた場所から2人の様子を見守り、常に注意を払っていた。
遺跡内部は暗く湿っており、埃っぽい空気が漂っていた。崩れかけた石柱や壁には、かすかに古代文字が刻まれていた。ラーンとテルヘルは慎重に進んでいき、遺跡の中心部へとたどり着いた。そこには、祭壇のような石の台座が置かれていた。
「ここか…?」テルヘルは台座に手を伸ばし、その表面を撫でた。「何かを感じるのだが…」
その時、背後から不気味な音が響き渡った。ラーンとテルヘルは振り返ると、そこには巨大な影が立っていた。それは、石の巨像のような姿で、鋭い爪と牙を持ち、赤く光る目玉が燃えていた。
「何だこれは…!」ラーンは驚愕の声を上げた。イシェはすぐに駆け寄り、3人を援護した。
遺跡に潜む危険な存在、それは巡回する守護者だった。彼らは遺跡を守るために作られた存在で、侵入者を容赦なく攻撃する。
ラーンとイシェは剣を振るい、テルヘルは魔法の力を使い、巨像と激しい戦いを繰り広げた。激しい攻防が続く中、イシェは巨像の動きに何か異変を感じ取った。「あの巨像…何かを守ってるみたいだ。その台座に何かがあるんじゃないか?」
ラーンの剣が巨像に命中し、巨像はバランスを崩して倒れ込んだ。その瞬間、台座に隠されていた小さな箱が現れた。イシェはその箱を持ち上げ、中を開けると、そこには輝く宝石が詰められていた。
「やった!大穴だ!」ラーンは大喜びで叫んだ。しかし、イシェはどこか複雑な表情をしていた。
「これでまた巡回が始まるのだろうか…」イシェはつぶやいた。遺跡の守護者たちは、宝を守るために永遠に巡回し続ける運命にあるのだ。