ラーンが豪快に笑った。「よし、今日は大穴が見つかるぞ！」イシェは眉間に皺を寄せながら、地図を広げた。「ラーン、またそんなことを言わないで。遺跡の探索は計画的にならなければ危険だ。特に今回はテルヘルさんの依頼だからなおさらだ」
「大丈夫、大丈夫！イシェが心配しすぎだよ」ラーンは剣を肩に担ぎ、川辺沿いの道を歩き始めた。「ほら、今日はいい感じだな！空気が澄んでて、なんか運がいい気がするんだ！」
テルヘルは涼しい表情で後から続いた。「運なんてものは存在しない。準備と情報こそが重要だ。」彼女の鋭い視線は、川の流れを遮る岩陰に注がれていた。
遺跡への入り口は岩陰に隠されていた。ラーンは興奮気味に剣を抜こうとしたが、イシェが制止した。「待て！まずは周囲を確認するんだ」イシェは慎重に足音の立つ場所を確かめながら、岩陰に隠れるようにして遺跡へ近づいた。
テルヘルはイシェの動きを見て頷き、ラーンに言った。「お前は警戒を怠るな。この遺跡には危険が潜んでいるかもしれない」
「わかってるよ！」ラーンは不機嫌そうに剣を構えた。
遺跡内部は湿気で暗く、冷たい風が吹き抜けていた。壁には古びた絵画が描かれており、何かの物語を語っているようだった。イシェは地図を広げながら、慎重に進む道を指さした。「ここは注意が必要だ。罠が仕掛けられている可能性がある」
彼らは川辺を挟んで左右に分かれた通路を進んだ。ラーンは右側の通路を選んだ。イシェは左側の通路へ進み、テルヘルはイシェの後を続いた。
「ここなら何か見つかるといいな…」ラーンのつぶやきは、川の流れの音がする程度にしか聞こえなかった。