「よし、今回はあの峡谷の遺跡だ！」ラーンが目を輝かせた。イシェはため息をついた。「またそんな危険な場所？」ラーンの計画性のない性格は、いつもイシェを心配させた。「でも、テルヘルさんの依頼なら報酬も高いし、仕方ないか…。それに、あの峡谷にはまだ探索されていない場所があるって噂だし…」イシェの言葉にラーンはニヤリと笑った。「そうだろう！きっと大穴が見つかるぞ！」
三人はビレーから少し離れた峡谷へと向かった。険しい岩肌を登り、崩れかけた橋を渡り、深い霧の中に包まれた遺跡へと続く道を進んだ。テルヘルは地図を広げながら、冷静に指示を出した。「ここは罠が多いので注意しろ。特にあの崩れそうな壁際には近づかないように」イシェはテルヘルの言葉に従い、慎重に足場を確かめながら進んでいった。
一方、ラーンは相変わらず気分で行動していた。「わっ！見てくれ、イシェ！こんな珍しい石があるぞ！」彼は崩れた壁から光る石を拾い上げた。イシェは「ラーン、それは触らないで！」と慌てて制止したが、すでに遅かった。石に触れた瞬間、地面が激しく揺れ始めた。
「ひっ！何だこれは！」ラーンはバランスを崩し、崖の淵に転げ落ちそうになった。イシェは咄嗟にラーンの腕をつかみ、何とか引き上げた。「危ない！気をつけろよ！」イシェは怒りと不安で声が震えた。テルヘルは冷静さを保ちながら、「あの石は遺跡の警備システムを起動させるものだったようだ。ここからは更に危険になるだろう」と警告した。
峡谷の遺跡は、想像以上に危険な場所だった。罠が仕掛けられ、崩れそうな場所が多く、さらに謎の生物が生息していた。ラーンは何度も危機に瀕するが、イシェの機転とテルヘルの冷静な指示によって難を逃れることができた。そしてついに、彼らは遺跡の奥深くにある部屋にたどり着いた。そこには、輝きを放つ大きな宝箱があった。
「やった！ついに大穴を見つけたぞ！」ラーンの目は星のように輝いていた。「よし、開けるぞ！」イシェは宝箱に手を伸ばしたが、テルヘルがそれを制止した。「待て。この宝箱には何か仕掛けがあるかもしれない。慎重に…」その時、突然壁から光が放たれ、部屋中に広がった。三人は目を眩んだ。そして、意識を失ってしまった…。