ラーンが巨大な石の扉を押し開けた時、埃が舞い上がり、薄暗い空気が彼らを包んだ。イシェは咳き込みながら「ここか…」と呟いた。
扉の先は広大な地下空間だった。天井から伸びる石柱が幾重にも重なり、奥へと続く通路を形成している。壁には複雑な文様が刻まれており、かすかに光を放っている。「また遺跡の迷宮か」ラーンが眉間にしわを寄せた。
テルヘルは静かに周囲を見回し、「この遺跡は層構造になっているようだ。深い層ほど危険だが、より貴重な遺物も眠っている可能性がある」と冷静に分析した。イシェが懐から地図を広げると、そこには複雑な線で結ばれた複数の層が記されていた。
「層ごとに異なる魔物が徘徊しているらしいぞ」ラーンは不安そうに言った。「よし、安全な場所を確保してから、層を下っていくことにしよう」テルヘルはそう宣言し、一行は慎重に奥へと進み始めた。
石畳の床を踏み鳴らしながら進むと、通路の壁から不気味な光が漏れてきた。イシェが近づいてみると、そこには薄暗い光を放つ水晶が埋め込まれていた。「これは…」イシェが触ろうとした時、水晶から突然光線が放たれ、近くの石柱を貫通した。
「何だこれは!」ラーンが剣を抜くと、 crystallized light が壁に反射し、通路全体を不気味な光で満たした。「層の防御システムか…」テルヘルは冷静に分析した。
「層を下るには、この光線を避ける必要がある」イシェが地図を確認すると、そこには水晶の位置と光線の軌跡を示す線が記されていた。
ラーンは「よし、俺たちが囮になるぞ!」と豪語し、剣を振りかざして光線に向かって突進した。イシェはテルヘルと共に、光線の隙間を縫うように慎重に前へ進む。
深い闇の中に続く通路、そして未知なる層への挑戦が始まった。