ラーンが巨大な石扉の前に立って眉をひそめた。「ここか？」
イシェは彼の後ろから地図を広げながら「そうみたいね。遺跡の記録には、この扉の奥に『王の眠る場所』があると記されているわ」と答えた。
テルヘルが両手を腰に当てて言った。「では、開けてみようじゃないか。王の財宝を手に入れるには、まず obstacle を乗り越える必要があるだろう」
ラーンの表情は興奮気味だった。「よし！イシェ、準備はいいか？」
イシェは小さくため息をつきながら、「準備はできているわ。でも、本当にここが『王の眠る場所』なのかしら？」
ラーンは扉に手を触れようとしたその時、テルヘルが彼を制止した。「待った。何か変だ」
「変って？」
テルヘルは鋭い目で周囲を見回すと、「この扉には複雑な仕掛けが施されているはずだ。記録では、特定の呪文を唱えることで開くらしい」
イシェは眉をひそめた。「呪文？そんなもの、どこで手に入れるのよ？」
テルヘルはニヤリと笑った。「それは私の仕事よ。ちょっと待っていて」彼女は小袋から何やら奇妙な粉末を取り出し、扉の表面に撒き始めた。
「何をしているんですか？」ラーンの顔色が変わった。「まさか、あれを…」
テルヘルは粉末を撒き終えると、扉に向かって何かを囁き始めた。その言葉は古びた言語で、どこか不気味な響きがあった。
突然、扉から不気味な光が放たれ、部屋全体が赤く染まった。ラーンとイシェは目を疑った。「これは…！」
扉がゆっくりと開くと、そこには見事な黄金の宝座が置かれていた。その上には、宝石を埋め込んだ王冠が輝いていた。
「やったぞ！」ラーンの顔には興奮の色が浮かんだ。
しかし、イシェは不安げに言った。「でも、なんか変だ…この光…」「何かがおかしい」
その時、宝座の後ろから不気味な声が響き渡った。「ようこそ、愚かな者たちよ…」
ラーンとイシェは振り返ると、そこには巨大な影が立っていた。その姿はまるで獣のように醜く、目が赤く光っていた。
「王か…」テルヘルは呟いた。「だが、この姿は…」
影は嘲笑うように言った。「私は王ではない。王を喰らい尽くした者だ。お前たちも私の糧となるだろう」
ラーンの顔色は青ざめた。「逃げろ！」
しかし、その言葉が通りかかる前に、影は彼らに襲いかかった。