ラーンの大笑い声と共に遺跡の入り口が崩れ落ちた。埃が立ち込め、イシェは咳き込みながら顔をしかめた。「またかよ、ラーン!計画性ゼロだぞ!」
「ははっ、気にすんなイシェ。ほら、見てみろよ、この奥行き!きっと大穴だ!」ラーンの目は輝いていた。イシェはため息をつきながら、崩れた入り口の向こうを覗き込む。確かに奥行きのある空間が広がっている。「まあ、確かに広いが…」
その時、テルヘルが鋭い視線で彼らを制止した。「待て。何か変だ」。彼女は地面に目を向け、指先で何かをなぞるように動かしている。「この石畳…奇妙な刻印だ。まるで警告のようにも見える」
イシェはテルヘルの言葉を聞きながら、改めて周囲を見回した。確かに、石畳には複雑な模様が刻まれており、どこか不気味に思える。ラーンの明るい声だけが、この静けさと不穏な雰囲気を打ち破っていた。「よし!大穴探しだ!」
ラーンは興奮気味に奥へ踏み込んだ。イシェはテルヘルと目が合い、互いに頷き合った。何かがおかしい。予感がした瞬間、地面が激しく震え始めた。ラーンの足元から砂埃が噴き上がり、巨大な穴が開いた。ラーンは驚きの声を上げながら、穴に吸い込まれていく。
「ラーーン!」イシェは叫んだ。テルヘルは冷静に状況を判断し、「あの穴は深すぎる。今すぐ降りることは危険だ」とイシェに言った。だが、イシェはラーンの姿が消えていくのを見過ごせなかった。彼は迷わず穴の中へと飛び込んだ。
「待て!イシェ!」テルヘルは後を追うように穴に近づいたが、もう遅かった。イシェの姿も闇の中に消えていった。テルヘルは深く息を吸い込み、自分の計画を思い出した。ヴォルダンへの復讐を果たすために必要なものは何か?この遺跡から何かを見つける必要があるのだ。彼女は落ち着いて周囲を見回し、石畳の刻印に再び目を向けた。
その時、小さな光が石畳の中から漏れてきた。「これは…!」テルヘルは小躍りし、光に向かって手を伸ばした。それは、ラーンやイシェの運命を決める鍵となるかもしれないものだった。