ビレーの街はずれから少し歩くと、日差しが心地よく降り注ぐ丘の上にあった。小春日和の日だった。ラーンは、イシェの眉間にしわができるのを眺めて笑った。
「また難しい顔をしているぞ、イシェ。今日はいい天気だし、気分を良くする日だ」
イシェはため息をつきながら、「いい天気だからって、遺跡探索が楽になるわけじゃないでしょう。それに、今回はテルヘルさんの依頼だから、なおさら慎重に進めないと」と答えた。
「大丈夫大丈夫。あの遺跡は俺が調査したことがあるんだ。特に危険な場所は無いはずだ」ラーンは自信満々にそう言ったが、イシェは彼の背中に背筋を凍りつかせるような予感を感じていた。
テルヘルは少し離れた場所で地図を広げながら、冷静に指示を出していた。「あの石碑の奥にある部屋を目指せ。そこには我々が探す遺物があるはずだ」
彼女の視線は鋭く、どこまでも冷たかった。ラーンは思わず背筋を伸ばした。イシェはテルヘルの言葉を聞いて、心の中でため息をついた。この遺跡探索は、単なる宝探しではない。テルヘルがヴォルダンへの復讐を果たすための重要な鍵となるかもしれないのだ。
そして、三人は小春日和の光の下、遺跡へと足を踏み入れた。