ラーンの大笑い声が遺跡の奥深くまでこだました。イシェは眉間に皺を寄せながら、彼を睨んだ。「また見つけたのか？そんなくだらないもの。」 ラーンが手にしたものは、錆び付いた小さな金属片だった。イシェはため息をつき、テルヘルの方を見た。「どうする？」
テルヘルは金属片を冷静に観察し、「記録にはない形状だ。分析が必要だ。」とだけ言った。イシェは少し安心した。テルヘルの判断力はいつも的確だった。ラーンの無計画な行動を補填してくれる存在だと思っていた。
彼らは小休止をとることにした。狭い通路の奥にある小さな部屋で、わずかに広がる光が差し込んでくる。イシェは疲れた様子で壁にもたれかかり、テルヘルは地図を広げ、慎重に記号を書き加えていた。ラーンは、いつものように興奮気味に遺跡の壁画を指さし、「見てみろ！古代人の戦いの様子だろう！」と叫んだ。
イシェは苦笑した。「そんなもの興味ないよ。早く次の場所に行きたい。」ラーンは少しの間黙り込んだ後、小さく頷いた。テルヘルが地図を閉じると、静寂が部屋に広がった。
「次の目標地点まであと少しだ。準備はいいか？」テルヘルの声は冷たかったが、イシェにはどこか切実なものを感じられた。イシェは深く息を吸い、小さく頷いた。ラーンの無邪気な笑顔は、彼にとってこの旅の唯一の光だった。しかし、イシェは彼と共に歩む道に不安を感じ始めていた。この遺跡探検が彼らをどこへ導くのか、そしてその先に何が待っているのか。
彼らは再び立ち上がり、遺跡の奥へと進んでいった。