日差しが容赦なく照りつけるビレーの市場で、ラーンはイシェに詰め寄っていた。
「おいイシェ、またそんな顔すなよ!あの遺跡、俺には大穴の予感がするんだって!」
イシェは眉間にしわを寄せながら、ラーンの肩越しにテルヘルの方を見た。「ラーン、あの遺跡は危険だって何度も言ったでしょう。あの辺りはヴォルダンとの国境に近いし、以前から何者かが調査してて、不気味な噂があるんだよ」
「そんなこと気にすんな!俺がテルヘルさんに頼んでくれたら、安全な方法で遺物を手に入れられるだろ?それに、あの遺跡にはきっと何か凄いものがあるはずなんだ!」ラーンの目は輝いていた。イシェは彼の熱意に押されるように小さくため息をついた。
「わかったわよ。でも、今回は本当に気を付けてね」
テルヘルは少し離れた場所で、冷静な表情で周囲を見渡していた。彼女はラーンの無邪気さに呆れながらも、彼とイシェの持つ可能性を評価していた。彼らの純粋さは、ヴォルダンが奪ったものを取り戻すための力を与えてくれるかもしれない。
「よし、準備はいいか?」テルヘルは低い声で言った。「あの遺跡には、我々が探しているものがあるはずだ。そして、それはヴォルダンに復讐する鍵になる」
ラーンの瞳はさらに輝きを増し、イシェの表情も少しだけ緩んだ。彼らは、尊崇の念を抱きながら、危険な遺跡へと足を踏み入れた。